第26話 義父からの贈り物1

博士

こんにちは、博士(ハクシ)ちゃんです。
当ブログをご訪問いただき、どうもありがとうございます。

かい

このブログでは、中卒の夫・カイと博士号を持つ妻・ハクシの日常をご紹介しています。

博士

学歴差があっても、とても楽しく暮らしていますよ!

かい

さて、前回まで数回にわたり、結婚前の挨拶のために僕の郷里・山口を訪問した時のエピソードについてご紹介してきました。
今回はその後起きたことのお話です。

博士

ここまでの関連記事は、下記のリンクから読めます!

この記事の内容

お義父からの衝撃的な質問、再び

カイさんの実家に結婚前のご挨拶に行ってから少しして、カイさんの携帯にお父さんから電話が来たそうです。

かい父

で、どっちの苗字にするのかは、そろそろ決まったの?

この質問はカイさんにとっては寝耳に水、青天の霹靂でした。

と言うのも、今回の結婚にあたり、「どっちの苗字にするか?」という話し合いはカイさんと私の間でも、私たちと各々の親との間でも特にされることはなく、

当然私がカイさん側の姓になるものだ

と、ごく自然に全員が思い込んでいたからです。


それもそのはず。
カイさんには妹(エムちゃん)しかいないので、2人兄妹の長男です。
一方私には姉がいるのですが、この姉は未だ実家で両親と暮らしている、所謂「子供部屋おばさん」です。

日本の慣習から考えると、長男と次女の組み合わせだったら、

・次女が長男のところへ嫁に行く→次女が長男側の姓を名乗る

と考えるのが一般的かと思います。


そういう訳で、私も当然のように「結婚したら私はカイさんの姓になるのだ」と思い込んでいたのですね。


そんなだったので山口の実家にご挨拶に伺った時にも、

博士

これからは私もこの家の姓を名乗らせていただきます。
よろしくお願いします。

という心境でいました。

婿入り・嫁入りと民法

ところでこの「結婚後、どちらの姓を名乗るか」という問題は、実は現代の民法では大した意味を持っていません。

でもかつては、法的にそこそこ重要な意味を持っていました。
というのも、明治時代〜終戦までの民法(大日本帝国憲法下の明治民法ですね)には「家制度」というのがあったからです。
この「家制度」、ものすごく簡単に言うと、法において「」というのがひとつの組織のように扱われており、その「」の主には様々な統率権が与えられていたのですね。
何せ「法において」ですから、国が家長の権限を保障していたんですよ。
なんだか恐ろしい気がしてしまいますが・・・。

で、こういう時代では結婚も当然「家」と「家」の結び付きの意味合いが強いです。
そして「嫁に行く」「婿入りする」と云うのは文、字通り生まれた時に所属したいた組織(生家)を抜けて、別の「組織(婚家)の一員になるということでした。

なんとも息が詰まりそうですが、こういう時代において「結婚後、どちらの姓を名乗るか」ということは、花いちもんめや野球のトレードのように、その組織のメンバーの増減を意味します。
ひいては、その組織の今後の繁栄にも関わってくる問題なので、なかなかの大問題だったのですね。



ちなみに先ほどちらっと書いたように、この「家制度」は大日本帝国憲法下でのお話ですので、終戦後に新憲法(日本国憲法)が施行されると、なくなりました。
まあね、新憲法はほとんどアメリカ人が作ったようなものですしね。
彼らには「家制度」なんて意味不明で理解すら出来なかったでしょうから、戦後消滅したのも納得です。

したがって現代では『嫁入り』という概念も、民法上では無くなっています。
現代における「婚姻」は、結婚して夫婦だけの新しい戸籍を作ることです。
そして今のところは法的には夫婦同姓しか認められていないので、この新しい戸籍を作る際に、夫の姓か妻の姓かのどちらかを選択しないといけないのですね。

現代でも「嫁に行く」とか「婿入りした」という言い方を耳にしますが、これは上記の結婚して新しい戸籍を作る際に、あくまでも慣習的に、

・夫の姓を選択する場合は『嫁入り』
・妻の姓を名乗るの場合は『婿入り』

と言っているだけです。

(この他に婿入りする男性が、妻側の両親と養子縁組をする『婿養子』というものもありますが)

お義父さんの考え

私もカイさんも、現代の法の観点からすると、嫁入りや婿入りの概念は、

【結婚して新しい戸籍を作る時に、どちらのかの姓を選択するだけのこと】

だということは、なんとなくは知っていました。

でも日本の慣習的に、それだけでは済まないことがあることも分かっていました。

特にカイさんは、結婚して配偶者の姓を名乗ることになった側に生涯付き纏う『アウェイ感』を想像したのか、結婚が決まってからはそのことに関して、いつも私に気を遣ってくれていました。

そこに突如としての義父からのカイさんに対する質問です。

義父曰く、

かい父

ハクシさんは研究者やけ、これまでに書いてきた本とか論文とかが色々あるけぇ。
研究者の女性が結婚して夫の姓になると、それが全部消えちょうよ。
お前は会社員やけ、姓が変わっても仕事で問題ないじゃろ。
やけ、ちゃんと2人で話合わにゃいけん。

言われてみれば、確かにそうなのですけど。
なんだかんだ私もやっぱり、日本の伝統的な「結婚」の既成概念に捉われていたのかも、と思いました。

かい

さて、今回も長くなったので、次回へつづきます。

博士

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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